No work, No pay!

先日の「心理相談員」の研修でのこと。ある大手カー・ディラーのメンタルヘルス管理体制の事例紹介で、その社是が"No work, No pay."とのことだった。健康管理の観点だと、社員が健康を害して働けなければ、収入はなく、会社からの補償もない状況になる。病人やけが人に温情があった会社に属していた私には、少なからずショックだった。
でも、しばらくして考えたのは、これぞ「成果主義」だということ。「成果主義」と言いながら相対評価を行ったり、数値化できない指標や定性的な管理業務を無理矢理、指標化するのと違い、これほどはっきりした処遇の仕方はないと思った。よって、評価に対する不信感やモティベーションの低下など、起きないかもしれない。
実際、メンタルヘルスを含む健康管理を担当されている方のプレゼン中、評価制度そのものに対する批判らしき言葉は聞かれなかった。冷酷な制度である反面、透明性や公平性は、厳然と担保される。それがわかっていて、其の会社で働くものは、文句の言いようが無く、文句があれば自ら去ればよいのだ。
ただ、問題は業務起因の疾患により、成果をあげられない場合だが、視点を変えれば、そのフォローを法定給付などにより健康管理組合が担うと割り切れば、指して問題も無いような気がしてくる。
日本での「成果主義」導入は、失敗だったという考えが膨らむなかで、本来の(極端な)「成果主義」というものは、思いのほか、分かりやすいものだと感じた。そのうえで、本来の企業活動と切り離して、社会保障の観点でどう「敗者」をフォローするかを考えるべきなのかもしれない。
(異論があるやに思うけど、自分のブレインストーミングとして...)
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