カエラちゃんを観てたら、

今年一年を振り返って見ようと、久々にブログに向かったものの...
「紅白」の木村カエラちゃんを見てたら、加藤和彦氏のことを思い出して、感傷に浸ってしまった。昨日の深夜には、坂崎幸之助トーク番組で加藤和彦氏追悼の再放送を見たばかり。
私の「トノバン」は、フォーククルセダーズの加藤和彦ではなく、サディスティック・ミカバンドやメロディー・メーカーとしての氏なのである。ロキシー・ミュージックのサポートバンドだったし、クリス・トーマスがプロディースしたことなど、70年頃の日本の音楽シーンではあり得ないこと。ともかく、かっこいい。「ませガキ」の私にとっては、究極のあこがれだったのに。
その「ど真ん中」にいたトノバンは、人より先に走ることが本能だったかのように、人より先にこの世から去ってしまった。あまりにも切ない。
ミカ(エラ)バンドの2度目再結成時に、軽井沢のスタジオ(たしか加藤氏の別荘)でのレコーディング風景を、「パッチギ」を共作した井筒監督が撮った。そのドキュメント映像のなかでの「トノバン」を忘れられない。メンバーに手料理を振る舞い、小原礼のこだわりの緩衝役になって、他の個性的なメンバーをいい感じでまとめてた。カエラちゃんにも特段の気遣い。
(たしか)3度の離婚(と死別)。本当は、加藤氏が放出した沢山のやさしさの分だけ、エネルギーを補給し、サポートしてくれる伴侶を必要としていたのかもしれない。
もちろん、音楽的才能やライフスタイルは、広くあまねく影響を与えていた。プロディーサーとして作曲家として、かっこいい先輩、メンターとして、彼の次のアイデアに期待し、またその才能は無地蔵であると信じていたのに。トノバンが、行き詰まりを感じていたなんて、にわかには信じ難い。誰もがそうは見ていなかったはずだ。
今年、プラスティック・オノバンドが再結成した一方で、トノバンがいるサディステッィク・ミカバンドをもう聞けないなんて、皮肉である。僭越にも、なんとなく自分と共通する何かを感じていた私にとって、彼の死は、じわじわと深く淋しさを感じさせる。
そんな、センチメンタルな年の瀬です。
サディスティック・ミカ・バンド [DVD] サディスティック・ミカ・バンド [DVD]
NARKISSOS (初回限定盤)(DVD付) NARKISSOS (初回限定盤)(DVD付)
黒船 黒船